レポート作成上のヒント

 

0.基本事項

(1)単位 ([ ]内は良く使われる別の単位)

  長さ:m [km, cm, mm,μm, nm,]

  質量:kg [g]

  時間:s [hr, min]

  温度:K []

 

  電流:A

  電圧:V

  電気抵抗:Ω

  静電容量:F

  インダクタンス:H

  磁束密度:T [G],磁場:A/m [Oe]

 

  力:N (= kgm/s2)

  圧力:Pa (= N/m2),真空度:Torr (= mmHg) [atm, Pa]

  仕事,エネルギー:J (= Nm),熱量:cal

  電力:W (= AV = J/s)

 

(2)桁表示

 p (ピコ): 10-12

 n (ナノ): 10-9

 μ (マイクロ): 10-6

 m (ミリ): 10-3

 k (キロ): 103

 M (メガ): 106

 G(ギガ): 109

 

(3)直線の傾きk

測定データーに対して直線を引く場合,その直線の傾きが重要な物理量を表すことが良く

ある。しかし実際に,測定点に直線を引く場合,測定点がまさにその直線上にあることは

稀である(図1参照)。

     図1.直線関係の例

 

この時,直線の傾きを求めるには,実験点の値をそのまま計算に使用してはいけない。

直線上の任意の2点の座標,(x1, y1), (x2, y2)を読み取り,

  

により,傾きを求める。

 

 

1.長さの測定と誤差

平均値

                    (3)

 

平均自乗誤差

      (6)

 

 

2.たわみによるヤング率の測定

理科年表の値

鉄:21.14×1010 Pa

銅:12.98×1010 Pa

黄銅:10.06×1010 Pa

 

荷重(M)と中点降下量(h)の関係

 

ここで用いるΔsは,

  (mm)

   (i = 0, 1, 2, 3, 4, 5)

で求め,そのときの荷重Mは,

 M = 200×i (g)

である。横軸にM,縦軸にhを取るとプロットは原点を通る直線になる。

 

 

3.ねじれ振り子による剛性率の測定

(1)周期の測定方法の変更

横置き,縦置き,それぞれについて,10周期を3回測定して,その平均値を求

める。これから,周期T1T2を求めれば良い。

 

(2)理科年表の値

鋼:7.8-8.4×1010 Pa

黄銅:3.73×1010 Pa

 

 

6.混合法による固体の比熱の測定

理科年表の値

鉄:0.104 cal/g

銅:0.091 cal/g

アルミニウム:0.210 cal/g

 

 

7.真空の実験

(1)以前のピラニ真空計から,新たに,広領域真空計が導入されている。この

真空計では,大気圧付近も測定できる(ただし,精度はあまりない)。また,測

定単位が,Pa(パスカル)になっている。測定結果は,

1 Torr = 133.32 Pa

Torr(トール)に換算する。

 

(2)真空ポンプ(RP)が,排気速度450 (/min)の高性能なものに変更されている。

レポート作成時には,この値を用いること。これに伴い,実験方法も一部変更する。

真空度の測定は,10 (s)ごとに,5 (min)まで行うこと。

 

<注意>

RPONにする時は,2つのリークバルブ(P. LEAK, B. LEAK)が共に閉じていることを

必ず確認する。リークバルブを開けたままの状態でポンプを作動すると,大量の空気が

延々とポンプ内に送り込まれ,真空度が上がらずに実験が進まないばかりか,大気中への

オイル放出による健康被害やオイルの劣化を引き起こす。

 

(3)ガイスラー管を用いた放電の測定は行わない。

 

(4)実効排気速度の計算

                           (4)

の両辺の自然対数(logelnと記す)を取ると,

  

これを常用対数に直すと,

  

を得る。この式は,縦軸にlogP,横軸にtを取ると,その直線の傾きが である

ことを示す。すなわち,片対数グラフにプロットしたデーターの初期直線部分の

傾きに相当する。グラフから直線部分の傾きを読みとり,テキストに与えられて

いるV値を用いれば,実効排気速度S (l/s) を求めることが出来る。

傾きを読みとるとき,対数軸上では102 2101 1, ・・・,10-2 -2 である

ことに注意。直線の傾きの求め方は,0.基本事項を参照のこと。縦軸の値が

2, 1, 0, -1, -2 と言った切れの良い値のときの,横軸の値(時間)を読み取ると良

い。本排気装置の場合,実験的に求められた実効排気速度は,回転ポンプの排気

速度(テキストに記載)にほぼ等しくなるはずである(ただし,単位に注意する

こと)。

 

 

10.レーザー光の回折と干渉

(1)複スリットの干渉模様

6 d : s = 2 : 1 のときのパターン

7 d : s = 4 : 1 のときのパターン

実験で求めたd : sはどの程度になっているか考察しよう。

 

(2)追加課題

デジタルマイクロスコープを用いて,スリットのs, dを測定する。

レーザー光の回折から求めた値と比較しよう。

 

デジタルマイクロスコープ簡易マニュアル

 

 

11.結晶によるX線の回折

追加課題:背面X線ラウエ法による単結晶解析

FZ法による単結晶作成過程

 

結晶構造可視化・解析ソフトウェア"Crystal Maker"によるシミュレーション

実験の流れを掴むのに役立ちます。

 

 

12.溶液の吸収スペクトル

(1)テキストの修正

p.104 (b) 4行目

「・・・約3cc入れ,ふたをする。」

 

p.104 (c) 1行目 

「・・・。本体右側面のダイヤルで,波長を350nmにセットする。本体前面

試料切り替えノブを・・・」

 

p.104 (f) 

続けて(3)の吸収係数の測定を行なう場合は,水,赤色水溶液,青色水溶液を

そのまま使用する。もし,実験がここまでで終了の場合には,Wランプを・・・

戻さないこと。POWERスイッチをOFFにし,電源コードを抜いて実験を終了する。

 

p.105 (a) 

・・・。試料ホルダー側の水入りセルは取り去る。

 

p.105 (b) 

・・・3cm程度まで入れ,ふたをする。これらつの試料セルを,・・・

 

(2)透過率の計算

                           (3)

を指数表示すると,

  

これを(1)式に代入すると,

   (%)

を得る。

 

(3)吸収係数μ(cm-1)の求め方

 ln(IT/I0) - d 図は原点を通る直線となる(lnlogeの意味)。式(5)より,この直

線の傾きが-μになる。直線の傾きの求め方は,0.基本事項を参照のこと。

 

 

13.ホイートストンブリッジ

原理の証明には,キルヒホッフの法則を利用する。


15.交流回路

(1)デジタルオシロスコープ使用法

 

(2)インピーダンスの理論値(周波数依存性)

 LR回路:ZL = Lω

 CR回路:ZC = 1/Cω

ここで,角周波数ω= 2πf

注:計算のとき,桁表示に注意すること。0.基本事項を参照。

 

(3)位相差(CH1の波形に対してCH2の波形が横方向にずれている角度)

LR回路:  だけ進む

CR回路:  だけ遅れる

50 kHzでスケッチしたCH1CH2の波形から位相差を求め,理論値と比較して

みよう。1周期は360°(= 2π)であることから,2つの波形の横方向のずれが何

度であるか計算できる。

 

(4)LCR回路

共振周波数:   (Hz)

実測値と理論値を比較してみよう。

 

位相差:  だけ進んだり,遅れたりする。

    共振周波数では位相差はなくなる。

 

1 kHz, f0, 100 kHzでスケッチしたCH1CH2の波形から位相差を求め,理論値

と比較してみよう。

 

Q値:

共振曲線(I0 logf 図)からω1ω2を読み取り, から求まるQ

と理論値を比較してみよう。

 

(5)インピーダンスアナライザーを用いて測定した結果も比較してみよう(イ

ンピーダンスの値,位相差,共振周波数など)。

低周波発信器&オシロスコープの測定と比べて,どちらが理論値に近いだろうか。

また,測定データーは,エクセルファイルとして以下からダウンロードできる。

Zcデーター

ZLデーター

エクセルのグラフ機能などを用いて,グラフにしてみよう。

 

 

16.半導体

(1)テキストの訂正

P.143, 3行目

電圧計V1, V2  (電圧計は1つしか使用しない)

 

(2)電圧計としては,デジタルマルチメーター(MD-700)を用いる。DCV

イッチを押し込み,10Vまでの測定では20Vスイッチを,1Vまでの測定では,

2Vスイッチを押し込む。このレンジスイッチは,測定できる最大値を示してい

るのみで,測定値に影響は無い。

電流計としては,デジタルマルチメーター(Agilent 34405A)を用いる。電源ス

イッチを入れて,立ち上がり中に右側表示に一瞬”AUTO”の表示が出れば,オー

トレンジになっている。DCIのスイッチを押して直流電流測定モードにする。

左側表示に”ManRng”と表示が出ている場合は,shift, Autoとスイッチを押して

オートレンジにすると良い。

 

 

17.発振

デジタルオシロスコープ使用法

 

 

18.熱起電力の測定

追加課題:データーロガーを用いた測定

 

データーロガー予備機マニュアル (USBメモリに直接保存できる)

 

データーロガーに保存されたデーターを,エクセルのグラフ機能などを用いて,

縦軸に熱起電力,横軸に温度を取ったグラフにすること。測定データーを持ち帰

るのに,USBメモリーなどの記録媒体を持参する事

エクセルのグラフウィザードで図を作成する場合,「散布図」を指定すること。

棒グラフ等の統計図モードでは,横軸を上手く指定する事が出来ない。

CH1 : 温度(℃)

CH2 : K熱電対の起電力(mV

CH3 : J熱電対の起電力(mV

 

.CSV形式は,カンマ区切りテキストファイルであり,ダブルクリックではファ

イルが開かない事がある。その時は,アプリケーションをエクセルなどに指定し

て開くか,エクセルのファイルメニューからファイル名を指定して開くかすると

良い。自分達のデーターが上手く利用できない場合は,以下のエクセルファイル

を利用しても良い。

サンプルデーター

 

 

19.金属の電気抵抗の温度変化

指導書の操作方法は余計な記述が多く,かえって混乱を招く。簡易版マニュアル

を利用すると良い。

 

 

20.半導体の電気伝導度とホール係数

(1)測定について

電圧計としては,デジタルマルチメーター(Agilent 34405A)を用いる。電源ス

イッチを入れて,立ち上がり中に右側表示に一瞬”AUTO”の表示が出れば,オー

トレンジになっている。これが現れずに,左側表示に”ManRng”と表示が出てい

る場合は,shift, Autoとスイッチを押してオートレンジにすると良い。DCVで測

定を行う。

 

磁場の測定で,ガウスメーターは,BELL 620を使用する

ガウスメーター使用マニュアル

 

(2)ホール係数の求め方

0B VH 図は直線関係にはあるが,半導体試料の幾何学的形状により横方向に漏

れ電圧が生じるため,その直線は原点を通らない。直線の傾きからホール係数を

求めることになる。

    (V/T)                  (14)

  

直線の傾きの求め方は,0.基本事項を参照のこと。この計算で用いる電流値

は,ホール電圧の測定で用いた値である(比抵抗の測定で用いた値とは全く無関

係)。計算には,mV, mAと言った単位が含まれているので,桁の扱いに注意し

よう。

n型とp型でホール係数RHの符号が逆向きである理由を考えよう。

 

(3)電荷の移動度

 比抵抗ρには,実験Iの測定結果の平均値を用いる。

 

(4)電荷の平均自由行程

 電子の質量と電荷を計算に用いる。

 m = 9.11×10-31 kg

 e = 1.602×10-19 C

 

 

26.パソコンを用いた温度計測

テキストの古い課題は廃止し,新しい課題を行なっています。

 

新課題:LabViewによるプログラミングと計測

 

(1)測定データーを持ち帰るのに,USBメモリーなどの記録媒体を持参する事。

(2)エクセルのグラフウィザードで図を作成する場合,「散布図」を指定する

こと。棒グラフ等の統計図モードでは,横軸を上手く指定する事が出来ない。

 

 

(付録)旧テキスト(黄緑表紙)正誤表

 

ページ

箇所

21

5. (3)

机上に該当部分のコピーが置いてある

各自図書館等で調べる

28

周期の測定表

043

143

43

4

Q, W

Q (cal), W (J)

55

(4)

88

上から2行目

1.52.0 m

1.22.0 m

94

1の表題

削滅則

消滅則

103

上から9行目

レバーをW側にし,・・・点灯

する。

レバーがW(波長が・・・)であることを確認する。

104

1

透過率T

透過率T(%)

104

本文(c)

本体右側面の・・・

本体上部左のスイッチを入れてWランプを点灯する。本体右側面の・・・

104

下から1行目

測定が終了したら,

測定が終了したらWランプを

消し,

105

上から2行目

(2)

(3)

105

上から3行目

実験(1)

実験(2)

105

上から4行目

1cmセル2個セルを

1cmセル2個を

105

上から6行目

及び10cm

(削除する)

105

3

0

0= 1cm

105

3

10 cm の行

(削除する)

111

下から5行目

∞の目盛り

143

4

V1メーター

(配線しない)

144

下から5行目

5の様に

7の様に

176

5(a)

図の左部の[電圧降下Vx]

[矢印類]

(削除する)

177

2表題

n型半導体試料についての

比抵抗の

181

(14)'