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超音速高等練習機T-2


 国産初の超音速機。航空自衛隊の戦闘機パイロットを訓練するための練習機として、エンジンをのぞき国産技術で開発されました。米空軍と同じ練習機を輸入またはライセンス生産することも検討されたそうですが、独自開発に踏み切ったことがその後の日本の航空産業界に与えた意義は、非常に大きいと言えます。最大速度は音速の1.6倍、地上攻撃の目標まで東京・青森間にほぼ等しい距離を往復することができ、国際線旅客機巡航高度の約1.5倍の高度まで上昇することができ、旅客機巡航速度から音速の1.4倍まで3分以内で加速することができるという性能は、開発当時の世界的レベルを上回るものだったと言います。

 1967年から開発が始まり、1971年に初号機が完成して以来、1988年まで合わせて96機が生産されました。そのうち製造番号79-5193の機体(93番目に製造されたT-2後期型、1987年領収)を、航空自衛隊松島基地のご厚意により、格納庫に展示しています。

 

主要諸元
わかりやすく言うと
寸法
全長
17.85m
電車1両の長さより約4m短い
全幅
7.88m
サッカーのゴールポストより56cm広い
全高
4.39m
東北新幹線2階建て車両とほぼ同じ。約半分近くは垂直尾翼の高さ。
主翼
下反角
9度
旅客機の主翼を前から見ると上に反っているが、T-2は逆に下向きに9度傾いている。
面積
21.17m2
片側で約6畳
重量
基本運用重量
6,622kg
乗員、燃料などを含まない自重。電車1両の重さの約1/3〜1/4。
基本全備重量
9,690kg
燃料を満載し、機関砲弾を200発装備した重さ。
空対空形態
9,880kg
さらに空対空ミサイル(サイドワインダー)を2発装備した重さ。
対地形態
13,000kg
燃料を満載し、機関砲弾を500発、750ポンド爆弾を2発、替えの燃料タンク2本を装備した重さ。これだけ抱えても電車1両の重さの約半分。
エンジン
名称
石川島播磨TF40-IHI-801A
ロールスロイス(英)+チェルボメカ(仏)共同開発によるアドア(RB172/T260-40)のライセンスを受けて、石川島播磨重工業が国内で生産。
形式
アフターバーナーつきターボファン
空気圧縮機と連動して回転するファンが起こす風力と排気ガス噴出力とを組み合わせて推力を得るジェットエンジン。アフターバーナーは、排気ガスに燃料を噴射して再燃焼させることにより推力を増強する機構。
基数
2基
推力
2,317kg
アフターバーナーを使わないとき。車、約20台分の馬力に相当。
3,309kg
アフターバーナーを使うとき。
燃料
機内積載量
3,823リットル
このスリムな機体の中に、ドラム缶約20本分の燃料を積むことができる。
増槽積載量
833リットル×3
増槽(胴体や主翼下に取り付ける紡錘形の燃料タンク。不要になれば空中で切り離して捨てることができる)を3本取り付け可能。1本の増槽にはドラム缶約3本分の燃料が積める。
飛行性能
最大速度
マッハ1.6
音速の1.6倍。旅客機の巡航速度の約2倍にあたる。単純に計算すると、東京・大阪間を約20分で飛ぶことに。
失速速度
217km/h
落ちないで飛んでいられる最も遅い限界速度が新幹線の走行速度と同じくらい。旅客機が離陸する速度よりさらに遅いこの速度でも、T-2は落ちないで飛んでいられる。
上昇率
11,000m/min
旅客機は5,000m〜10,000mの巡航高度まで10分〜30分かけて上昇するのに対し、T-2なら同じ高度まで約1分で上昇できる。
実用上昇限度
約15,000m
どこまで高く昇れるかを表す数字。旅客機の巡航高度の約1.5倍にあたる。エヴェレスト山の約2倍の高さ。この高度では、気温は氷点下数十度、気圧は地上の約1/8。
離陸滑走距離
840m
(対地形態)
最も重い装備(対地訓練形態)をつけていても、840mの滑走で離陸できる。840mは羽田空港第一ターミナルビルの南端から北端までの距離にほぼ等しい。
着陸滑走距離
540m
(空対空形態)
空対空訓練形態の重さで着陸すると、540mで止まれる。540mは羽田空港第一ターミナルビルと第二ターミナルビルとの間の距離にほぼ等しい。
行動半径
280km
(空対空訓練)
基地を出発して約280km飛行し、約5分間の空中戦を行って、基地に戻ることができる。280kmは東京から名古屋または仙台までの直線距離にほぼ等しい。
560km
(対地訓練)
基地を出発して約560km飛行し、地上または海上に対する約5分間の支援戦闘を行って、基地に戻ることができる。560kmは東京から青森または松江までの直線距離にほぼ等しい。
フェリー航続距離
2,600km
機内タンクに燃料を満タンにし、増槽を3本装備して、最も燃費のよい飛び方をすると、片道2,600kmまで飛べる。東京を起点にすると、カムチャツカ半島、台湾まで飛べることに。
乗員数
2名

【参考文献】

  • 日高堅次郎、上原祥雄、大村平、今江久光、日本航空宇宙学会誌、26(1978)No.294、p.336
  • 「自衛隊の名機シリーズ4航空自衛隊T-2/F-1」、イカロス出版、東京(2004)
  • エアワールド, vol.29(2005)No.5, 株式会社エアワールド、東京

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